成功するのに必要な事
本書では、成功はその人の内部要因(生まれつき頭が良い等)というより
外部要因(生まれた年や家庭環境)に起因していると説明しています。
「成功は行き当たりばったりには起きない。
成功は蓄積される優位点から生まれる。あなたがいつ、
どこで生まれ、親の仕事が何で、どんな環境で育ったか、
それが成功するしないに大きな差をもたらす」
具体的には以下の4点。
①圧倒的に運が良い
(スポーツ選手だと生まれた月、コンピュータ・ビジネスだと生まれた年)
②1万時間のトレーニングをこなしている
(長時間にわたってトレーニングが積める機会や環境も、運が良いことの一つ)
③「誰に何を言うかを理解し、どのタイミングで言うか、そしてどのように言えば
最大の効果が上がるのか」を、家庭環境から学べている点
④時代環境が変わる中でリスクを取ったこと
ビル・ゲイツは、中学2年生の頃に当時珍しかったタイムシェアリングで
プログラムを学ぶチャンスに恵まれ、そこからずっと7年間ぶっ続けで
プログラム開発に取り組んでいた。体育の授業はさぼり、夜も週末も
プログラムづくり。ハーバード大学を2年で中退し、自分のソフトウェア
会社に全力を注ぎはじめたときには、とっくに一万時間を超えていた。
ゲイツはこの時のことを「とてつもない幸運が続いた」と語っている。
その他に参考になった点としては、「満足のいく仕事の特性」と
「親が子どもになすべきこと」でした。
◆満足のいく仕事の3つの特性
・「自主性」
・「複雑さ」
・「努力に見合う報酬」
人を幸せにするのは、9時~5時の仕事でいくら稼げるかではない。
「一生懸命働いて、自分の意見を主張し、頭脳と想像力を働かせれば、
世界をあなたの望みどおりにかたちづくることが出来る」
◆親が子どもになすべきこと
・子どもが示す興味を「一つの合図」と受取り、サポートすること。
・我が子にただ命令を下したりせず、子どもと話し合い、理由を
説明する
・多様な経験の環境を与え、組織の中でチームワークと対処法を
学ばせ、大人と気持ちよく会話する方法や、必要に応じて自分の
考えを相手に伝える方法を学ばせている
個人的には、バイオリニストの調査結果と家庭環境の調査結果が
面白かったです。
アカデミーで学ぶバイオリニストの調査では、、世界的なソリストに
なりそうな学生とそうでない学生は、習い始めた時は同じぐらいの
練習時間なのに、トップの学生は途中から他の誰よりも多く練習に
励むようになり、20歳ぐらいの時には1万時間に到達している。
仲間が黙々と練習に励む中、その何分の位置かの時間で楽々と
トップの座を楽しむような音楽家はいなかった。頂点に立つ
人物は、他の人より圧倒的にたくさんの努力を重ね、他の人よりも
早い段階で1万時間に到達することが「天才」と言われる基礎と
なるのだろうと思いました。
しかしながら、10代の後半までに1万時間をクリアするには、
自分の力だけでは難しく、両親の励ましや支えが必要であり、更に
その時間を費やせる環境もないと難しいのも事実です。
トップクラスの人が一万時間に達するためには代表チームに
選ばれるなど、並外れたチャンスに恵まれています。
家庭環境については、「積極的に子どもの才能や考えや技能を
育み評価しようとする親」か、「自然な成長による結果を待つ親」かの
2つの要素で、子どもが将来成功するかしないかが決まる、と
いうのにも驚きました。本書では、この親の属性が所得による
違いで分かれると述べられていました。
教育についても考察が面白かったので、本書は購入することに
します。また、原著でも読んでみようと思います