考える、のススメ(別館)

大学1年の中学受験塾の講師を皮切りにいつしか指導歴28年。普段の授業で気づいた事などを綴っています。

学校説明会からみる学校選び





昨日、塾対象の学校説明会に行った話を書いたのですが、「肝心の話の内容は?」とのご指摘を受けましたので、今日はその説明会で聞いた話から感じた「学校の選び方」について。

ちなみに塾対象説明会といっても、受験生対象説明会と同じく、基本は次の2点

・学校の様子
・入試の様子

について説明しています。ただ、塾対象の方が、受験生対象より、もう少し入試について詳しく話をしています。塾の場合、「生徒さんをこの学校に合格させなければならない」という使命がありますので、合格者平均は何点とか、今年の入試ではどの問題で合否の差がついているか、とか実際の入試問題を元に説明されます。こういった内容は学校別で違うので、ここでは「学校の様子」からみる「学校の選び方」について書くことにします。


文系寄りの学校か、理系寄りの学校か


実は普通科の高校でも、「文系寄り」の学校なのか、「理系寄り」の学校なのかの違いがあります。もし、お子さんを「将来医学部に入れたい」と思っている場合、「理系寄り」の学校に入れておいた方が、学校の授業進度と受験勉強がリンクしやすくなります。ただ、お子さんを「そんなに勉強に力を入れなくてよいから、本人が好きなことに集中させてあげたい」と思われている場合、「理系寄り」の学校に入れてしまうと、普段の授業についていくので精いっぱいとなり、思ったように好きなことに時間が使えないかもしれません。逆に、「医学部に入れたい」と思っているのに、「文系寄り」の学校に入ってしまうと、受験対策は自前でやらないと厳しくなります。

ちなみに、昨日説明会に行った学校は、「理系より」の学校でした。



どうやって見分けるのか

では、どうやって見分けるのかですが、一番手っ取り早いのは、「理系進学希望者が多い学校ですか?」と聞くことです。「多いですね」と言われたら「理系寄り」の学校だし、「医学部希望者は何名かいますが、そんなにはいないですね」と言われたら「文系寄り」の学校です。

あとは、学校のHPにも載っている「卒業後の進路」をみて、東工大等に代表されるような理系単科大学合格者が多い学校だと、「理系寄り」の学校です。ただ、理系の大学名は知らないと判断がつきかねるので、私は、直接学校にお尋ねになることをオススメします。



国立志望系なのか私立志望系なのか

これはその高校自体が「国立大学付属」なのか、「私立○○高校」なのか、という意味ではありません。その高校が「国立大学合格」を目指しているのか、「私立大学合格」を目指しているのか、という意味です。「早稲田大学○○名合格!」と書いてあっても、その合格した生徒さん達が、「5教科7科目」を勉強した末に受かったのか、「3科目」だけ勉強して受かったのか、更にいえば「AO入試」を利用して「論文」だけで受かったのかはわかりません。国立大学に行って欲しいと思っていても、その高校が「私立志望系」の学校の場合、国立大学に受かるための勉強は、自分で進める必要があります。一応、カリキュラム上は「国立志望者用」に分かれていたとしても、学校全体が力を入れているのが「私立」の場合、その学校で用意されている「国立志望用カリキュラム」だと進度が遅い等の理由で、ちょっと厳しいものがあります。



国立志望系の学校の見分け方

「卒業後の進路状況」をみて、合格実績に「国立大学」がずらっと並んでいる学校は、「国立志望系」の高校です。反対に「国立大学」はそんなにいないけれど、「私立大学」の名前がずらっと並んでいる高校は、「私立志望系」の高校です。あとは、HPとかパンフレットに「早稲田○○名合格!」「本年度は慶應合格者が増えました!」と私立大学の合格実績がHPに多く書いてある高校は、私立志望が強い学校が多いです。

ただ、この「国立志望」か「私立志望」かについても、「理系寄り」か「文系寄り」かと同じように、直接高校に聞いてみることをお勧めします。聞き方としては、「国立を志望する生徒さんが多い学校ですか? それとも私立を志望する生徒さんが多い学校ですか?」でわかります。



「学校の様子」は、「スポーツが熱心な学校だ」とか「文武両道の学校だ」とか、実際にその学校を訪問してみると色々感じる点はあると思います。ただ、塾の先生の立場からみると、高校受験の後に控えている「大学受験」について、各学校はどう取り組んでいるのかと考えることが多いです。こういった観点で見る見方もあるということが、お子さんの学校選びの参考になれば幸いです。